9月の日記~大山キャンプ~ byのどぐろ

2014年10月10日

9月の日記は医学科6年のキャンプネーム「のどぐろ」こと松本慶太くんが書いてくれました!!
魂の日記をどうぞ。


<第41回小児糖尿病大山サマーキャンプに参加して>

時間が経つのはあっという間で、夏も終わり気がつけばいつの間にか秋を迎えました。

 

 

今回、去る8月3日~8月10日にかけて大山の麓にある名和トレーニングセンターで行われた小児糖尿病大山サマーキャンプに島根大学から第1内科の先生方と参加させていただいたご縁でいちない日記を書く機会を頂きました。

 

拙い文章ではありますが、

最後までお付き合い頂けると幸いです。

 

++++++++++++++++++++++++

 

小児一型糖尿病サマーキャンプは毎年全国各地で行われていますが、この大山サマーキャンプ(通称:サマキャン)は主に島根や鳥取など中四国地方を中心に、全国の一型糖尿病と共に生きる中学生までの子どもたちが、1年で最も暑い!8月の1週間、親元を離れ同じ病気を持っている同年代の子どもたちと同じ釜の飯を食べ、思いっきり遊び、そして1型糖尿病について学ぶ医療キャンプです。

 

41回を数えるサマキャンですが、今回も毎年顔を見せてくれる子や初めましての子も含め多くの子どもたちが参加をしてくれました。またキャンプ開催にあたってこの企画の運営団体である「大山家族」、医学生、看護学生による学生ヘルパー、主に山陰両県の医師、栄養士、看護師、薬剤師、検査技師からなる多くの医療スタッフ、糖尿病関連のMRさんが集まり、サマキャンが開催されました。

 

サマキャンでは1週間を通して、毎食ごとの食品交換表を使った単位計算、血糖自己測定、インスリン自己注射、栄養教室、DM教室が行われ、子どもたちはみっちり1型糖尿病についてオベンキョウします。

(キャンプ中に夏休みの宿題を持ってきて学生ヘルパーに手伝ってもらうツワモノもいたりします、、)

 

これらと同時に、体育館でのレクリエーション、大山登山、運動会、栄養士さん企画の食事バイキング、海水浴、キャンプファイヤー、お楽しみ会など学生ヘルパーによって企画されたイベントはどれも楽しく、子どもたちにとっても私たちにとっても忘れられない夏の思い出となります。

 

私がこのキャンプに参加し、1週間生活を共にする中で感じたことは、

子どもたちにとってこのキャンプが、同じ境遇の友だちとの『つながりを作る場』であるということです。

 

同年代のみんなが1型糖尿病とどのように向き合っているか、学校ではどう生活しているかを共有し合い、中学生の子どもたちになるとこれからの進路なども含めて話し合います。(話そう会、中3ミーティングという時間が設けられており、たわいもないこと、病気になってからのこと、まじめな話、恋バナまでぶっちゃけトークが繰り広げられます!)

また学生ヘルパーはキャンプ中子どもたちと最も近しい立場でご飯を食べたり、遊んだり、語り合ったり、たまには喧嘩したりと兄弟姉妹のように深く関わりますし、スタッフさんは親のような、近所のおじちゃんたちのような存在で、まるで『家族』のような関係で生活を共にします。

また、子どもたちにとっても8日間のキャンプは決して楽しいだけではありません。

親元から離れ、知らない大人たちに囲まれながら過ごさなければならないキャンプでの生活。食事では普段から食べ慣れていない食材を使った料理や、嫌いなものも出てきます。当然好き嫌いが通るわけもなく、いつも食べる量より多くても摂取カロリーに見合ったインスリンを注射しているのでお残しは当然禁止(子どもたちにとっては食べることが治療の一環です)。

朝は6時半にたたき起こされ体操(通称:盆ダンス!)、布団を畳み、トイレ、洗面所、風呂場や共用スペースの掃除や洗濯など、『え~、、やだ!』といつも駄々をこねる彼らですが、問答無用です。悪いことをすれば怒られるし、しんどいこともたくさんあります。

 

ですが、そういったしんどいことも含めて子どもたちにとってこの大山での一週間はかけがえのない時間となり、閉会時には、学生ヘルパーによる『帰れコール』に見送られながら会場を後にし、それぞれの日常に戻っていきます。

今年のキャンプは例年以上に雨が降り、大山登山、キャンプファイヤーもできませんでしたが、

その分お互いに関わり合う時間が多く、印象深いものになりました。。。

 

 

島根大学からも第一内科から守田先生や多田先生、野津先生を始め、医局の先生方、附属病院の医療スタッフの方々が大学での診療の合間を縫って今年も沢山参加されました。毎夜スタッフミーティングが多職種合同で開かれ、血糖の変動を評価し、食事量の決定やインスリン製剤の選択と投与量の調整など子どもたち一人一人の背景や性格を踏まえながら彼らにとっての最善を検討しておられました。

私自身も1型糖尿病やインスリン強化療法の実際について多くのことを教えていただきました。

 

子どもたちに治療の必要性、継続性を伝え、インスリン療法によって、例え1型糖尿病であってもなんら他の子どもたちと変わりなく成長し、自分の人生を生きることができるんだと、そのために、このサマーキャンプで一緒に勉強していこう。困ったことがあったらいつでも相談しにおいで。

 

という先生方のメッセージが、子どもたちの力強い後押しなっているんだと感じました。

 

今回のサマキャンでは4名の中学3年生がこの大山サマーキャンプを卒業していきました。私は彼らとの語らう時間である中3ミーティングを担当させてもらいました。そこでは、過去のキャンプの思い出、最近の血糖コントロールの様子、学校での出来事、近く迫ってくる高校受験や自分の進路について、といった内容から、見ているテレビ番組、好きなアイドルや俳優さんのことなど、自分も中学3年に戻った気持ちで沢山話すことができました。

また、サマキャンを卒業するにあたって、このキャンプで身に付けた経験が日常生活に反映されていること、キャンプでみんなに会えることを楽しみにしていてくれたこと、どんな想いでこのキャンプに参加していたのかなど、彼らなりの想いを聴くことができました。

『1型糖尿病になってしまったけど、全部が悪かったことだけじゃない。良かったこともある。

それは大山サマーキャンプ(大山家族)でみんなに出会えたこと。』

 

参加してくれた子どもたちがサマキャンを卒業するときに伝えてくれた言葉です。

 

 

一生続く食事療法とインスリン療法、この先ずっと付いて回る合併症罹患のリスク、、、

 

 

子どもたちの人生を変えてしまった1型糖尿病ですが、

このサマーキャンプとの出会いが病気を肯定的に捉えるきっかけになったんだ感じています。

 

 

現代医療において多くの慢性疾患が存在しその制圧に向け、日夜研究がなされています。

糖尿病はその代表のような疾患ですが、多くの新薬が開発されようとも、患者さんと医療者が良好な関係を築くこと、その土台の上に立ち患者さんの気持ちに寄り添いながら医療を行うことが、より良い治療成果につながる。

 

 

サマーキャンプでの経験を通して、そのことを肌で感じることが出来たと思っています。

 

 

子どもたち、学生ヘルパー、先生方、沢山のスタッフの皆さんと家族のように過ごしたサマーキャンプから早いもので2ヶ月が経ちます。お互いの成長を約束し、来年の夏、再び大山で会えますように。

 

参加してくれた子どもたち、学生ヘルパー、スタッフの皆さん、本当にお疲れ様でした。

 

以上を持ちまして、41回小児糖尿病大山サマーキャンプの報告とさせていただきます。

長くなってしまいましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

 

医学科6年

松本慶太

++++++++++++++++

 

追記

 

9月の中旬、出雲市内の某飲食店にて、いちない主催の大山サマーキャンプ大反省会が開かれ大いに盛り上がりました!