医局長あいさつ
島根大学内科学第一のホームページをご覧いただきありがとうございます。
2025年2月から医局長を務めさせていただいております、野津 雅和と申します。
本教室は島根大学医学部の開設と同時に1976年に創設されました。その後1979年の附属病院の開院にあわせ私の父親が本教室に入局し、講座立ち上げの時期に関わらせていただいたと聞いています。2026年に迎える開設50周年という節目に、医局長として携われることに大きなご縁を感じているとともに、親子ともども支えていただいた同門の先生方、講座スタッフの皆様、関わりのある全ての皆様に感謝を申し上げます。特に、各地域で圏域の医療を支えつつ、私をはじめ教室員を指導・サポートして下さっている先生方に心より感謝申し上げます。
変化する医療環境と私たちの挑戦
近年、医療をとりまく環境は大きく変化しています。
診療面では、例えば糖尿病をもつ方において24時間持続血糖測定器や持続インスリン注入機器が使用可能になっています。安全性や精度が向上する一方で、利用するための費用負担、利用する方を適切にサポートできる医療専門職の不足や地域偏在が問題となっています。
研究面では、他国と比較して研究力の低下が指摘される中、研究予算は減少し、競争的資金を得ることが年々厳しくなっていることを肌身で感じます。
教育面では、生成系AIの応用が医療の世界にも参画しはじめ、以前に増して倫理面やリテラシーと科学技術の発展のバランスをとれる人材育成が期待されています。
本教室も他に漏れず、これらの課題に直面しています。しかしながら私たちは、この様な難しい時代でも前進していけると考えています。現在本教室に所属してくれている若い医局員のみんなを見て、その様に感じます。
教室の強みと未来への展望
50年の歴史の中で、本教室は時代ごとに異なる専門領域を培ってきました。副腎/血液疾患、下垂体/成長ホルモン、副甲状腺/Ca骨代謝、糖尿病関連腎臓病をはじめとした糖尿病合併症の病態解明へと教室の強みは変化しています。専門分野の変遷は、ともすれば衰退の途へ向かうリスクがあります。しかし私どもの教室では、前の時代からの専門性を引き継ぎ、領域横断的に研究の幅を広げています。教室を率いる金﨑先生は、「異分野、異なる研究も突き詰めれば必ずつながる」という姿勢を大切にしています。現在の大学院生たちは代謝調節機構を基盤に、心臓、腎臓、肝臓、副腎、副甲状腺、がん、というように多領域にわたる研究を展開しています。
また、本教室は島根県全域の内分泌代謝疾患の診療体制を支える役割も担っています。都市部に比べ人口が少なく、専門医の偏在が課題となる中、私たちは地域で完結できる診療体制の構築を目指し、幅広い専門分野を持つ医師の育成に力を注いでいます。
若手医師・学生の皆さんへ
可能性を多大に秘めている後輩の先生たちに、伸び伸びと、心地よく働いてもらうのが私の役割です。それを実行させていただくために、皆様のお力添えが必要です。島根や島根大学にゆかりのある若い先生、学生の皆さん、ぜひ本教室の構成員に加わってください。
教室およびその構成員にとって、最も大切なのは「人」です。
仕事が楽しくやりがいをもって熱中する構成員もいれば、仕事以外の時間に生きがいをもつ構成員もいます。男女問わず主に子育てを担う構成員も多くいます。誰が正しい、どういうスタンスが好ましい、ではありません。全員、それぞれの方向で心地よく働ける環境を大切にしたいと考えています。一人一人の生活の質をあげていくためには、「人」が重要です。
みなさん、「いちない」に加わって、心地よく働く構成員の一員になっていただけませんか?入局をお待ちしております。
2025年2月吉日
医局長 野津 雅和