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研究室

糖尿病性腎病を含む糖尿病合併症や骨代謝異常などに関連した研究を行っています。

研究室

当科では実験室内で行う基礎研究と、患者さんから頂いた検査結果を解析する臨床研究の両方を行うことを基本としています。

当科では、実際に診療している内容と研究内容がかけ離れることがないように配慮されているため、普段自分が診療中に思いついた疑問をそのまま研究に移行させることができます。そのため研究を進めながら、実際の診療にも反映することができます。

また、当科は研究をしながら診療を続けますので、臨床能力を保ちながら研究を進めることができます。

基礎研究

基礎研究のすすめ

基礎研究と聞くと何を思い浮かべますか?

臨床研究のすすめ

研究室で行う実験は小難しく取っ付きにくく感じ、自分のキャリアと結びつけて考えられないかもしれません。

「自分は臨床医として働きたい。研究をしている時間はないし興味もない」と考えられる方も少なくないでしょう。しかし、臨床医として働いていると沢山の疑問や既存の知識では解決できない問題に直面し限界を感じる機会があると思います。

基礎研究はそうした根本的な問題の解明を目指し、得られた成果は医療の進歩への足掛かりとなります。

すぐに目に見える成果が現れることは少ないですが、基礎研究に携わっていると毎日1つ1つの小さな発見や学びがあります。これはとても楽しい経験ですし、経験した人にしか分からない魅力だと思います。

また、基礎研究に従事する時間は自分の視野を広げるとともに、臨床で直面する問題を科学知識に基づき解決する力を培い、確実に医師としてのレベルアップにつながります。

基礎研究は小難しくつまらないものではなく、身近で面白いものです。
機会があればぜひ一度経験してみて下さい!

ここからは当科の研究室について簡単に紹介します。

島根大学内分泌代謝内科研究室の魅力

1.研究分野が多彩

当科研究室では糖尿病・高血圧などの代謝疾患の病態解明だけではなく、糖尿病性腎症、妊娠高血圧症候群、骨代謝、糖尿病とがん、甲状腺・副甲状腺疾患、ビタミンDやマグネシウムといった栄養素欠乏と代謝異常、など多彩なテーマを元に研究を行っています。
様々な視点からの意見を得られますし、必ず自分の興味がある分野に出会えると思います。

2.国内外の研究者との交流

当科では国内外からの大学院留学生を受け入れています。また、研究成果は国内や海外の学会で発表しています。他大学や研究室、また国外の研究者と討論する機会はとても楽しく、自分の視野をひろげてくれるはずです。

3.定期的な基礎研究カンファレンス

3.定期的な基礎研究カンファレンス

当科研究室では定期的に研究進捗などを共有・討論する基礎研究カンファレンスを開催しています。アットホームな雰囲気で、疑問やトラブルがあっても気軽に相談することができます。

Research mindを持ったPhysician-scientist(臨床と科学研究を両立する研究医)を目指して、一緒に働いてみませんか?大学院留学生も大歓迎です。

 

臨床研究

臨床研究のすすめ

「臨床研究」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?日常臨床の「気づき」を発端に、疾病の有無に関連する因子を観察研究で同定し、その因子を除去することで疾病の予防・治癒が可能である因果関係を証明する介入研究の2つの要素で構成される研究です。まだ認識されていない疾病が存在するのではないか、日々行う診療が、患者さんの健康増進に寄与しているかどうかと疑問が生じたとき、臨床研究を行うことができれば。自ら統計学的に検証することが可能であり、臨床医が兼ね備えていることが望ましい能力と考えます。 

本邦には回顧すべき事例があります。ビタミンB1欠乏に起因する脚気は、昭和30年代まで結核とならぶ本邦で罹患率の高い疾患の双璧でした。東京慈恵医科大学の創始者である高木兼寛先生は、海軍軍医任官中に、軍艦毎に脚気の発症率が異なり、下士官以下に発症し、上官にはほとんどないことを見いだしました。低蛋白質の食事に原因があると考え、ある軍艦の兵食に「海軍カレー」など蛋白質含有量が多い洋食を採用し、従来食の他艦と比較したところ、遠洋航海中の脚気の発症率のみならず死亡率も低下することを実証しました。主食を白米から蛋白質の多い玄米に変更する兵食改革を行った海軍では、明治中期には脚気の罹患者・死亡者を沈静化することに成功しています。

優れた観察眼と科学的な検証法により、世界に先駆けて脚気が麦食により予防可能なことが本邦で実証されました。しかし、軍食を含め広く普及することなく、戦後ビタミンB1誘導体が製剤化され、経済が回復し栄養摂取状態が改善するまで、多くの国民が脚気にさいなまれ続けました。

現代的に言うと、「麦食で全死亡率が低下する」という、hard endpointのめざましい改善効果を示す実証データが得られたのにもかかわらず、実践できなかったのはなぜでしょうか。当時は必須微量栄養素であるビタミンの概念はなく、合理性のある機序(学説)が存在しなかったことや、おいしくないため麦食採用を躊躇したことが考えられます。しかし、おそらくは、Evidence-based medicine: EBM(科学的根拠に基づく医療)の基盤となる臨床研究について習熟していなかったため、意義が理解できず、極めて有益な結果が得られる方法を選択する決断ができなかったことに原因があるのではないかと考えます。食品中のコレステロール含有量と血清中のコレステロール値に関連がないことが最近になって判明したように、科学的とは言えない医療の提供は、決して過去の問題ではないことを傍証しています。

EBMに基づく医療は、標準的な医療提供水準と考えられていますが、EBMの習得は卒後臨床研修には組み込まれていません。その習得にはEBMの基盤となる臨床研究に取り組むことが最良の方法と考えます。臨床研究を通じて、データの信頼性、解釈、導かれる結論の妥当性と意義、その限界について理解が深まり、多角的な考察の上、自ら判断し医療提供を行うことが可能になると思います。また、臨床経験から着想を得て行った自らの臨床研究の成果は、どのような結果であれ、医療に適用することにより、患者さんに利益を還元することが可能です。臨床医としてレベルアップを望み、患者さんの健康増進にもっと役立ちたいと考えている先生方は、ぜひ我々に相談を持ちかけてみてください。皆さんの成長のお手伝いができることを我々は楽しみにしています。

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