Science Advancesに論文が掲載されました!

2024年12月09日

私の以前の教え子で、現在も共同研究を行っているSwayam Prakash Srivastavaくんが筆頭著者を務めた論文が、Science Advances誌に掲載されました。Swayamくんは現在、ミシガン大学で、私に研究の基礎を教えてくださった猪木先生の研究室に所属しています。

この研究では、リポタンパク質代謝に関与する重要なタンパク質である**Angiopoietin-like 4(ANGPTL4)**が、糖尿病関連腎臓病(DKD)における線維化促進因子として重要な役割を果たしていることが明らかになりました。特に、糸球体上皮細胞(ポドサイト)および尿細管に特異的なANGPTL4が、糖尿病腎での線維化を引き起こす主要な因子であることを示しました。

さらに、ANGPTL4変異マウスでは、インターフェロン誘導経路の抑制、炎症性サイトカインの減少、上皮および内皮の間葉転換の抑制、ミトコンドリア損傷の軽減、脂肪酸酸化の亢進などが観察され、糖尿病腎における線維化が抑制されました。また、ANGPTL4がIntegrin β1と相互作用し、DPP-4との関連性を制御していることも示されました。腎臓でのANGPTL4遺伝子発現を特異的に抑制する薬理学的治療により、蛋白尿や線維化が改善される可能性が示されています。

この研究は、ANGPTL4が糖尿病腎の治療標的として有望であることを示しています。本機構を臨床的に考える際、DPP-4阻害薬によるアプローチでは、残念ながらケモカインの増加などその多彩な作用により臨床的に課題があります。それでもなお、今後の糖尿病腎臓病治療の展望として非常に重要な知見を提供する内容です。

金﨑

https://www.science.org/doi/10.1126/sciadv.adn6068